離婚は、人生の大きな転機です。
離婚できればいいなどと安易に考えず、新たに生活をはじめる上でも、後々のことも考えて、必要なことはしておきましょう。ここでは、離婚の諸手続とこれに関連して発生することを挙げます。
離婚は、人生の大きな転機です。
離婚できればいいなどと安易に考えず、新たに生活をはじめる上でも、後々のことも考えて、必要なことはしておきましょう。ここでは、離婚の諸手続とこれに関連して発生することを挙げます。
協議離婚、調停離婚をとわずに、離婚には一定の義務や権利がともないます。
離婚原因による「慰謝料・解決金」、子の「親権・監護権」や「面接交渉権」、又は「養育費」、預貯金や不動産などの「財産分与」等々、これらをどうするかを書面で取り決めることをお勧めします。
子の親権者に決まっても、結婚時に自分が相手方の戸籍に入籍した場合は、離婚しても自分だけが除籍されます。その場合、子の戸籍を新たな自分の戸籍に入籍するときは、裁判所に一定の申し立てが必要です。
児童扶養手当、医療費免除等の手続きや、新旧学校への届出、勤務先への扶養者移動届出、などが必要です。
これらの他にも、個々の環境や事情により必要なことが多々あります。離婚には様々なことが関係してきますので、面倒がらずに必要なことはきちんとやりましょう。
また、万一養育費の支払いが停止したり、忘れていた諸手続きのために相手方に連絡をしなければならなくなったときのことを考え、少なくとも相手方の居所は定期的に確認しておくことをお勧めします。
未成年の子がいる場合は、離婚後の親権者を決めなければ離婚できませんので、離婚届に親権者の記載がない場合には受理してもらえません。
また、離婚後は父母の共同親権が認められませんので、必ず夫婦の一方が親権者となり、子どもが複数いるときは、子ども毎に父母のどちらかが親権者になります。
基本的な考え方として、親権は親のエゴや離婚の事由ではなく、あくまでも子どもの養育環境を基本に決めます。また、基本的には子どもを分けることは避けます。
例えば、子ども全員の年齢が低い場合は、一方の親が子ども全員の親権者になるのが原則です。
しかし、やむを得ない事情がある場合や、子どもがある程度の年齢に達している場合、子どもの希望により親権を分けることもあります。
以下はケース別の一般的な考え方です。(当然ですが事情により例外もあります)
別居している場合は、著しく親権者として不適切でない限り、現在子どもと一緒に生活している親が有利になります。
妊娠中の子どもがいるあいだに離婚した場合は、母親がその子供の親権者になります。
しかし、特別な事情がある場合は、出産後に一旦親権者になった母親から父親に変更することはできます。
親権は子どもの権利と親の義務を定めるものです。
基本的に、親権者は子どもの「財産管理権(子どもの財産管理や、子どもが法律行為をする場合の代理権)と「身上監護権(子どもの世話や、しつけ、教育をする権利)を行使します。
子どもは離婚しても自分の子供ですので、親権者にならなくても子どもが未成年者のあいだは扶養義務があり、養育について意見することができます。しかし、あくまでも親権にこだわって離婚できない場合は、親権と監護権を分けて、監護者が子どもを引き取って育てる場合があります。この場合は、子どもの「財産管理権」は親権者が行使し、「身上監護権」は親権者と監護者が共同で行使します。
離婚届出書には監護権者は記載しませんので、調停離婚、審判離婚、裁判離婚以外で監護権者を定める場合は、必ず離婚合意書などを交わしておきましょう。
また、経済的な事情や健康上の事情で、両親が子どもの世話ができない場合は、両親の親や親戚、児童福祉施設が監護者になる場合もあります。
監護権を決めずに親権者でない方の親が子どもを育てていた場合、親権者がとつぜん子どもの引き渡しを要求してきたり、子どもを養子に出すなどと言ってきても、これを防ぐことは難しくなるので、親権者以外が子どもを養育する場合は必ず監護者を決めましょう。
どうしても親権者(監護者)が決まらない場合は、家庭裁判所へ親権者指定の調停を申し立て、また調停が不成立になった場合は審判、裁判で決めることになります。
審判は家庭裁判所が職権で手続きを進め、調査官の事実調査として、子どもの家庭環境調査や当事者審理が行われた後に審判が下されます。
親権者や子どもの環境や事情が変わり、親権者にふさわしくなくなった場合で、家庭裁判所が子どもの福祉、利益のために必要があると認めたときは親権者を変更できますが、手続は必ず家庭裁判所で親権者変更の調停、又は親権者変更の審判決定が必要です。
申し立ては、父母の他に子どもの親族(祖父や祖母など)もできますが、子ども本人には申し立て権利はありません。
監護者の変更は、家庭裁判所が子どもの福祉、利益のために必要があると認めたときに限り、両親の協議や家庭裁判所に子の監護者変更の調停または子の監護者変更の審判を申し立てて変更できます。
また、監護者の申し立ては誰でも申し立てることができますが、子ども本人には申し立て権利はありません。